バス乗車記
新交通と高速バス巡り


[はじめに][高速バス東鉄車]

はじめに

赤字ローカル線を多く抱える東鉄バスは、都市部でさえも乗客の減少に悩むという苦しい状況にあったが、ここに来て明るいニュースが飛び込んできた。
この2001年10月20日に名鉄バスとの共同運行によって、桜ヶ丘ハイツや旭ヶ丘・明和団地から、名古屋駅・栄とを直通で結ぶバスが登場したという。そして、速達・ダイヤの定時性を保つために、途中は高速道路を通る事になった。
このバス、本当は6月に開業する予定であったけれど、名古屋高速が小牧インターチェンジ(I.C.)まで延長されるのを待って開業にこぎ着けたのだった。

少しでも収益があるバス路線を獲得したい東鉄バスにとっては非常に良いことであり、高速バスというかつてない試みでもあるため、私もその様子を見てみたかったのだが、具合の悪いことに自宅の引越の時期に重なってしまった。私は高速バスに乗りたい気持ちを抱きつつ引越の作業に励み、一段落した12月下旬になってやっと乗りに行く事ができた。

師走らしくない新交通

幾分か寒さが残る中、JRの鵜沼駅で切符を買う。この駅の自動券売機はJR線だけではなく、名鉄線の切符も販売している。その切符には名古屋鉄道と記されていながらもJRの地紋があって面白い。しかも、その切符でそのまま自動改札機を通ることも出来る。
そうして名鉄新鵜沼駅への連絡通路を歩き、名鉄の通勤電車に乗る。犬山駅で上飯田行きの小牧線列車に乗り換え、8時55分に発車した。

犬山−列車増結上飯田行き列車
犬山で列車を増結 上飯田行きの列車

犬山駅を出てから、小牧線の各所で複線化や交換設備設置工事が急速に進んでいるのが見られる。近いうちに地下鉄名城線の平安通駅までの直通が実現するからで、直通用の名鉄車両のデザインも既に名鉄公式ページで公開されている。
列車は味岡駅の北側から高架を進み、私は小牧原駅で下車して、桃花台新交通の乗り場に向かう。ここは無人駅であるけれど、結構しっかりとした駅舎の中に自動券売機と自動改札口が設けられていた。ホームに登ると、転落防止のために全面ガラス張りとなっている。このように合理化が徹底化されている桃花台新交通ではあるけれど、やって来た「ピーチライナー」は全車両合わせて2人しか乗っておらず、小牧原駅からは私ともう一人だけ乗って発車した。少ししてから私は一番前の席に座り、前方の景色を何気なく眺める。

小牧原駅[新交通]ピーチライナー
小牧原駅の列車接近表示 ピーチライナー到着[小牧原]

ピーチライナー沿線風景
対向列車とすれ違い鳩の舞い
対向列車とすれ違う とある駅では鳩が集う

ほどなくして桃花台団地にさしかかり、桃花台西駅、スーパーの地下にある桃花台センター駅を過ぎて、終点の桃花台東駅に到着した。

駅の掲示によると、桃花台東駅が「中部の駅100選」に選ばれたそうで、新交通の線路(?)がループしているところが良かったらしい。それはともかく、駅前には目新しいマンション、その1階部分にあるお洒落なパン屋さんや郵便局があって面白い。ついでなので、私は郵便局で旅行貯金をしておいた。捺してもらった判子には「小牧大城郵便局」とあった。

桃花台東駅々舎高架下の散歩道
「中部の駅100選」の桃花台東駅 高速道路の高架下にある散歩道

くつろぎの高速バス名鉄車

高速名古屋・多治見線に乗るため、高速桃花台バス停に向かう。しばし高速道路沿いの遊歩道を歩き、高圧線鉄塔をぐるりと大回りしたところに、高速桃花台バス停への入口があった。

高速桃花台バス停乗り入れバス会社表記
[高速]桃花台バス停の標識 「東濃鉄道」「名鉄バス」の表記もある

私はバス停の上屋で、高速道路の本線を最高速度で突っ走る乗用車を眺めながらじーっと待つ。ガラス張りの上屋にあるベンチの上に、高速名古屋・多治見線の時刻表が置かれていたので、1枚手に取る。そうしていると、もう一人お客さんと思わしき人もやってきた。

信南交通特急バス高速名古屋線バス[名鉄]
こちらがお先に発車 名鉄の高速バスが到着

発車時間になったので上屋から出てみると、こちらに1台のバスが進入してきた。私は思わず手を挙げたが、これは高速名古屋・多治見線のバスではなく、信南交通の特急バスであった。共にバス停に立っていた人はこのバスに乗っていった。それから数分後、高速名古屋・多治見線のバスががやって来た。車両は名鉄バスである。運転士さんから路線バスと同じ整理券を受け取り、座席に腰掛ける。高速バスの座席は非常に心地よい。
このバスは運行が開始されてから利用状況が大変良いそうだが、近所のバス停からゆったりとした座席に座って名古屋駅や栄の繁華街へ直行できるのは、鉄道にはない魅力だろうと思う。料金も桜ヶ丘ハイツ〜名鉄バスセンター(名駅)で950円と、バス+鉄道(JR中央本線)よりも安く設定されているのも良い。

名鉄高速バスの車内
車内から運転席側を望む

桃花台を発った時点では10分近く遅れていたが、バスはぐいぐいと加速していき、一挙に遅れを取り戻すかに思えたが、小牧I.C.の料金所で1kmの渋滞に巻き込まれた。そこを過ぎて料金所を抜けると、名古屋高速の新規開業区間に入る。こちらはスムーズに走り抜け、楠料金所を過ぎると、車窓は次第に都会的な雰囲気に変わっていく。そして、名古屋地方のTVCMでおなじみの某宝石店を横に望むと、バスは東新町I.C.で高速道路を降りて、混み合う道を走っていくと、大型百貨店が林立する栄バス停に到着した。ここで、10数人いたお客さんはほとんど下車した。最近はセントラルタワーズの完成によって、名駅(名古屋駅)周辺ばかりが注目を浴びて、栄一帯の商店・飲食店は幾分か客足が落ち込んだと言われているが、このバスの利用を見れば、栄の集客力は未だに名古屋一ではないかと思った。

栄を後にして、矢場町で進路を名古屋駅寄りに変え、大須界隈の電気街北端を進む。この道にも真ん中に名古屋高速の高架があるためか、広々としている。そして、笹島町交差点を抜けるとバスは名鉄バスセンターに入り、高速名古屋・多治見線のバスは降車場に到着した。定刻より20分の延着であった。

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